お金語り

日々の暮らしの中で出来る節約・貯蓄・投資方法など、お金に関すること

株主優待をうまく利用して高利回りをゲット

株を保有していると、商品や買い物券などがもらえる株主優待。預金金利などが限りなくゼロに近いこのご時世に、利回りを計算すると8%以上になる企業も珍しくない、国内では屈指の「高利回り金融商品」ともいえる。当然ながら株価変動リスクとは裏返しだが、優待株の人気が高まるなか、利回りだけでなく値上がり益まで狙えるチャンスが大きくなっている。

 

近年、「株主優待バブル」ともいわれる状況が何年も続いている。優待を主目的に株式投資を行う人が急増し、優待の新設を発表するだけで、多くの企業の株価が急上昇する。そのため、業績から見ても割高としかいいようがない水準まで値上がりしてしまった企業もある。

 

ただ、そうは言いながらもこのバブルは「乗るべきバブル」でもある。多くの優待株が値上がりし過ぎている状況だが、高利回りの銘柄はまだ多数残っている。ニーズの高まりを受けて優待を新設する企業は引きも切らず、魅力的な「新顔」が絶え間なく登場している。また、株式相場が不安定になることが多い昨今だが、優待のある株は大幅下落が比較的起きにくいことでも知られる。

 

さらに、「優待族」とも呼ばれる個人投資家たちが増えたことで、新たな投資術さえ生まれている。例えば、優待族がいずれ間違いなく買うであろう銘柄に、事前に目を付けて値上がり益を狙う「先回り投資術」だ。今では、優待株に注目することは大幅に値上がりする株を探す手段として効率的な手段とさえなっている。

 

ただし、優待株といえどもれっきとした「株式投資」なので、銀行預金などと同じ感覚で手を出すべきではない。ある程度、基本的な仕組みは理解しておきたい。

 

ポイント優待が今後の注目ポイント

最近のトレンドとして、全員に一律で同じモノを送るのではない、新型の優待が増えている。特に目立つのが、「保有期間1年以上」といった基準を満たさないと優待がもらえないといった「長期保有優遇」タイプ。優待実施企業のうち、2割以上が取り入れている。他にも、株主の一部に豪華な優待が当たる「抽選制」を導入する企業もある。

 

新型の優待が生まれる背景には、通常の優待は株主が増え過ぎるとコストが負担になるといった、企業側の事情もある。長期保有や当選しないと優待をもらえないのは、投資家にとってはデメリットだが、長期保有優遇型の一部は、保有期間の条件さえ満たせば、通常より高利回りになる。抽選制でも、その優待がいらない株主は応募しないため、当選確率が意外に高いケースもある。

 

今後の注目は「ポイント制優待」。オンラインのカタログギフトのような優待を導入する企業が増えつつある。実はこれらの企業はすべて、IR支援会社・ウィルズの「プレミアム優待倶楽部」という同じシステムを利用。2~3年分のポイントを合算してより高額な商品を狙えるなどのメリットがある他、異なる企業のポイントを合算して使えるという画期的な仕組みも2017年中に導入される予定だ。

 

突然の優待廃止のリスクを避けるには

買い物券などがもらえるだけでなく、優待狙いの投資家が多いために株価が大幅に下がるリスクが少ない点も優待株投資の魅力。だが、この2つのメリットが一瞬で無くなってしまう事態が「優待の廃止」だ。企業が優待を廃止すると多くの場合、株価は急落して投資家は損を被ることになる。

 

株主優待は制度などで決まったものではなく、あくまで各企業が独自に株主に対して行うサービス。実際は、内心では優待を廃止したいと考えている企業も多い。株主優待を導入する目的は、主に個人株主数の増加が目的である。しかし、それほどの規模の企業でもないのに数万人に達するなど、必要以上に増え過ぎるケースもある。小口の株主が増え過ぎれば、優待品の費用負担だけでなく、各種のコストも嵩む。

 

株主優待の廃止を事前に予想する術もある。警戒すべきパターンの一つが「QUOカード」だ。最近は特に、優待として提供できる自社の商品・サービスなどがない企業が、QUOカードの優待を新設するケースが目立つ。しかし、QUOカード優待は、同じ金額分の優待を発行する場合でも、自社の買い物券と比べて企業側のコスト負担が重い。さらに自社の本業と無関係のため、抵抗なく廃止しやすいという面もある。

 

また、株主数を増やす目的の一つに「東証一部への昇格」があり、それを達成してしまった直後に優待を廃止するパターンも散見される。このケースでも、本業と関係ないQUOカードやギフトカードなどの優待を実施していた企業が目立つ。すべての会社にこの法則が当てはまるわけではないが、本業と関係のない優待や多過ぎる株主数、昇格などのイベントについては、ある程度の警戒感を持っておいた方が良さそうだ。